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月刊民商のオススメ講座を紹介
02 . May
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05 . August
モノの非価格競争力その6 他にないモノを売る米屋

 これまでなりわい経営は価格競争に巻き込まれないことが大事で、そのためにはモノの面では他で売っていないものを売ること、ヒトの面では他にないような売り方をすることの大切さを強調してきました。しかしこれは非常に難しいことで、それが出来たら苦労はいらないという声が聞こえてきそうです。しかしそれは必ずしも不可能ではないのです。
 
 私が5月にお伺いしたお米屋さん(S米穀店)がまさにそのことを実践していました。S米穀店はY県の県庁所在地Y市のはずれの新興住宅地にありました。ここの先代はY県の民商会長を長年されていて、会えばよくお米の話をされていました。これだけお米を愛している店を一度見てみたいと思っていたのですが、残念ながら今年になって急に亡くなられてその機会もなくなったと思っていたのですが、この連載を続けるうちにどうしても気になって電話をしてみたのです。 

 電話には跡を継いでいる息子さんが出られ、取材を遠慮されたのですが、「いまどき跡継ぎがいるだけでも珍しいから」と説得して会ってもらうことになりました。そしてそこで他にないものを売る「究極のなりわい経営」に出合ったのです。

次回は・・・ 商品は店の銘柄で売る
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19 . August
 モノの非価格競争力その6 他にないモノを売る米屋

①商品は店の銘柄で売る

 S米穀店は一見すると高級和菓子店と見間違うようなおしゃれな店でした。店に入ると和菓子の代わりに袋詰めのお米が陳列されています。その陳列を見て「これは違うな」と直感しました。

 陳列されているすべての袋にはコシヒカリ、ササニシキのような産地銘柄名ではなく、この店のお名前「米屋S」の字が大きく書かれていたのです。要するにここで売っているものは米一般でもなく、産地の生産物としての米でもなく、この店でしか売っていない他にないものとして売られているのです。いわゆる店頭ブレンド米の特徴を前面に出し非価格競争の世界をつくっていたのです。

 「話には聞きますが実際に見たのは初めてです」と筆者、さっそく「ブレンド米の評判はどうですか」と聞くと、「食べてもらってそのよさを分かってもらう以外ありません」と言いながらも、「必ず分かってもらえる」との自信が口調ににじみ出ています。

 「米というものは生き物で産地によっても一軒一軒の農家、田んぼによっても毎年出来が違います。それは気温の具合・日照りの具合・それが何月かによっても変わります。私たちは産地ごとのさらに細かく農家ごとのその年の出来をチェックしています。農家ごとの過去の記録も長年持っています。もちろん自分のところだけではできません。何人かの米屋が手分けして情報を集めているのです。そうして今年はどの産地のどの農家の米を中心にブレンドするかを決めているのです」ということです。

 ブレンド米は日本語では混米と訳され、「純粋好き、生一本」の日本では「混ぜ物をする」悪いイメージがこびりつき、街の米屋の機能が奪われてしまう馬鹿なことが起こりました。ブレンドとは調合のことだと思います。薬でも調合するのは当たり前、珈琲でも酸っぱい豆ばかり、苦い豆ばかりでは味が単調で、これらを組み合わせてこそおいしい味になるのです。こんな当たり前のことを見失った日本の米文化の退廃が毎日食べるお米という日本文化の中心で起こり、米屋さんの機能が忘れられ、それをよいことに米自由化がすすめられ街の米屋が崩壊させられたのです。

 米についても調合の大事さは変わりありません。甘みのある品種、粘りのある品種、水気の多い品種、味の濃い品種などいろいろあって当たり前で、それをどう調合するかが米屋さんの役割なのです。そのことを消費者に分かってもらう努力を続け、モノでの非価格競争力の土俵をつくることに成功しているのがS米穀店の姿だったのです。

 
次回・・・②なりわいの商いの役割を生かす
25 . August
モノの非価格競争力その6 他にないモノを売る米屋

②なりわいの商いを生かす

 実際に食べてみた「米屋S」のストアブランド米はなんともいえない、これまで口にしたことのない味でした。米粒の濃さは「これぞ大地の恵み」という感じがしました。これを食してから、あらためて何種類かの有名産地銘柄米と食べ比べましたが格段の違いでした。今その感触を立証すべく多くの人に試してもらっていますが、答えは多分そのように出ると思います。こんなS米穀店でも規制緩和以降、売り上げは落ちているそうですが、幸い商売を続けられないほどではなく米一本で営業を続けています。私もこれだけの味があればディープなファンに支えられ十分やっていけると思います。

 お話を聞いたあと店舗の裏にある精米施設を見せてもらい、またびっくりしました。店頭でのブランド米にはこれだけの施設がいるのかと知ったからです。精米機はもちろん、石ころ、ガラス片、不良米、その他異物を探し出し取り除く機械がそれぞれあり、それに水分を調整する機械など、10台近くの機械設備が並んでいたのです。PL法(製造物責任法)ができてこれだけの設備が必要になったのです。いま米屋が困難な時勢にこれだけの設備投資は設備する場所も含めて大変なことでしょう。S米穀店では米屋の社会的役割に確信を持っていたから先見の明で数千万円の設備投資ができたのでした。

 こうして見学をするなかで、なりわい経営の本質を逆に学ばせてもらいました。それは扱う商品をよく研究し、ほんもの・こだわりの味を商売人自身が究め、それを消費者に伝えながら、社会の食文化を守る先頭に立ち、また商売人が消費者に守ってもらえるようなまっとうな商売のなかに、価格競争の波に巻き込まれないなりわいのいき方があるということです。

 
次回・・・③専門店から専門家店へ
01 . September
 モノの非価格競争力その6 他にないモノを売る米屋

 ③専門店から専門家店へ

 S米穀店は明らかに米の専門家としての深い知識と情報に支えられた商売をしています。いま求められるのはこの専門家としてのなりわいの役割です。「日本には専門店はあっても専門家店は少ない」と指摘するのは駒沢大学の吉田敬一教授です。実は専門家店はあらゆるところで求められています。八百屋は全国の産地による味の違い、調理は何にあっているかを消費者に情報を届けなければなりません。

 例えば今年のごほうびは雨の少なかった何処産がおいしい(ごほうびは雨が少ないと水を求めて地中深く伸び出来がよくなる)とか、そういう役に立つ情報を求めています。「今日はこの野菜がお勧めだよ。こう料理すればおいしいよ」。こういう情報を与えて、あの八百屋は間違いがないという信用がなりわい経営のあり方です。時代はほんもの・こだわりの時代といわれています。その時代の担っていくほんもののおいしさでの質の競争がなりわい経営のあり方なのではないでしょうか。

次回…ヒトの非価格競争その7 得意先・同業者ネットワークの塗装店
09 . September
ヒトの非価格競争力その7 得意先・同業者 ネットワークの塗装店

①建設塗装という業界

 N県T市のT塗装店も全商連の役員さんです。興味を持ったのはいつも忙しそうで、お会いしているときも携帯電話が絶えないことです。どんな商売をされているのか気になり今回訪問することにしたのです。建設塗装といえばいわゆるペンキ屋です。建設関連でももっとも参入障壁が低い業種と言われ、それだけにこの業種での経営の秘密にかえって興味を持ったのです。

 この業種が参入障壁が低いのはDIY(ドゥ イット ユア セルフ=自分でやりなさい)の発祥の業種だからということでも分かります。欧米で始まったDIYは自宅の塗装を自分ですることが出発でした。お父さんの大工仕事の材料や工具の店であるDIYはその後日本に持ち込まれ、現在ではホームセンターとして量販店の中心になっています。しかし日本ではこれだけホームセンターが増えても自宅の塗装を自分でする人はそんなに増えません。それはなぜでしょうか。ここに日本人の特別の性格があるからです。どんな性格かというと外面をきれいにしたいと言う性格です。日本人は車の傷を嫌うように家でも外面を大事にします。この大事な自宅の外面を塗るペンキ作業をお父ちゃんの仕事にすることに、お母ちゃんがなかなか同意しないのです。洋風の住宅が増えたところにこうした事情が加わって、建設塗装業界はどこでもかなり忙しい業界になっているのです。

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