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02 . May
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04 . November
 内部循環型経済をつくる①

 前回に続き、栄村の地域づくりに学ぶべき点を述べたいと思います。前号では、第1に、地域や住民の個性を地域資源として再発見することが地域づくりの出発点になっていること、第2に、村の公共事業が何よりも住民のためになるように計画、建設、利用されていることの2点を指摘しました。

 第3は、この両者とも密接に関係していることですが、村内で活動しているさまざまな個性的な経済主体(農家、林家、製造業者、商業者、サービス業者、各種協同組合)を、栄村振興公社という第三セクターが、意識的にネットワーク化し、お金が村内の経済主体の隅々に行きわたる「内部循環型経済」をつくりだしていることです。

 「内部循環型経済」というのは、高橋彦芳村長が使っている言葉です。そこには、従来型の大型公共事業プラス企業誘致政策では、お金の流れが村内の事業者や農家、林家に循環することなく、村外に流出してしまうだけであり、この流れを転換し、村内の経済主体や住民のところにお金をまわす仕組みをつくらねばならないという思想がこめられています。前回紹介した田直し事業や下水道事業も、この考え方によるものです。

次回・・・内部循環型経済をつくる②
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11 . November
内部循環型経済をつくる②

 栄村振興公社は、1986年に秘境・秋山郷にある村営宿泊施設を引き継ぐ形で設立されました。村が100%出資し、村長が理事長を兼ねています。観光・宿泊施設の収益事業のほか、公益事業として特産品の開発・販売斡旋、都市との交流、地域活動情報の提供、自然保護や文化事業もおこなっています。

 この公社とは別に、93年に、村、農協、森林組合、商工会が共同出資した、有限会社・栄村物産センターがあり、公社と連携しながら道の駅「またたび」を運営しています。

 栄村振興公社のユニークな点は、宿泊施設などでのお土産物や食材、そして「地域内再投資力の発見」で紹介した飲料も含め、出来るだけ多くの商品やサービスを村内の事業所や農家、生産組合から調達するようにしていることです。直営施設での雇用も正社員、臨時職員で30人近くになるほか、パート職員も数十人に及びます。01年度の決算を見ると、2億8000万円の調達額の7割が村内から調達していることが分かりました。この村内調達額を、村の全世帯数で割ると、実に22万円に達しました。毎年、これだけの金額を公社と取り引きしている村内の農家や事業所、協同組合への支払や、雇用されている職員の賃金として、村の地域経済に還流させているわけです。

 このような「村内調達額」を計算している点にも驚かされます。地方自治体や第三セクターの調達が、どれだけ地域内から調達しているのか、別の言い方をすれば、公共団体がどれだけ地域経済に貢献しているかを数字で把握することは、自治体規模が大きくなればなるほど必要なことではないかと思います。地域内調達額は、伝票の項目に調達元地域のチェック欄を加えれば、即座に計算できるはずです。

 この公社では、特産品の開発と販売斡旋も行っています。特産品開発の技術力をつけるために職員を東京の大学に派遣し、宇宙食の生産技術を習得するようなこともしています。もちろん宇宙食を作ることが目的ではなく、そのような高度な加工技術・技能も身につけて特産品開発に挑んでいるいるということです。

次回・・・内部循環型経済をつくる③
27 . December
内部循環型経済をつくる③

 
さらに注目されるのは、村内の各種生産者を組織化し、その生産物をノーマージンで販売している点です。前回紹介した「ねこつぐら」も、そのひとつであり、高齢者が生産組合をつくって製造しています。同様に、各種生産組合、個人商店、会社、女性グループ、個人が製造する商品を、マージン無しで、都市住民に販売しています。通常、第三セクターでは、その経営を維持するために、販売マージンをとるのが一般的です。常識的にみると、「そんなことをしていると第三セクターの経営が破たんしてしまうのではないか」という疑問が出てきます。
 
 これに対して高橋村長は、「特産物の販売斡旋は、村の公益事業としてやっています。村民の利益になることが第一であり、そのためなら公社は赤字経営でも構わないのです」と答えています。

 言われてみればそのとおりです。栄村では、首都圏の都市住民との交流組織を、村あるいは集落単位でつくり、盛んに交流がおこなわれています。世界絵手紙展や和太鼓などの文化事業は文字通り世界的規模でおこなわれています。そのようなとりくみのなかで、首都圏で子どものアトピー性皮膚炎に悩むお母さんたちとの会と提携して、雑穀の産直活動が発展してきました。当初は、お米の値段と同じ水準でしたが、今では米価が低落し、雑穀の価格の方が高くなっており、生産組合に参加している農家にとって貴重な収入源となっています。大都市の住民との交流は、単に経済的交流だけではなく、食の安全や自然保護、文化事業を通した人間的な交流として、大きく発展しています。このこともあり、栄村に多くの人々が観光や視察に訪れたり、通信販売によって特産品を買ってくれたりして、01年度に調査した際には単年度黒字となっていました。

次回・・・内部循環型をつくる④
27 . December
内部循環型をつくる④

 このように栄村振興公社は、調達や販売斡旋事業を通して、村内の多くの生産者や商業者、サービス業を意識的にネットワークしています。大都市の住民が栄村で観光したり、特産品を買ってくれることによって、そのお金が、公社の経営活動を通して、村内の数多くの経済主体に還流し、生産にかかわる多くの住民にお金が波及的に循環することになっているのです。こうして、個別の経済主体の再投資力だけでなく、それらが集合することで栄村全体の地域内再投資力も量的、質的に高まることになります。

 その効果は、経済面だけではありません。都市住民との交流を通して、高齢者も含めて、生産者が誇りをもって、輝きながら生きることにつながりますし、農林業の仕事が増えれば、国土の保全機能も高まって、大都市の住民にとっても安全が確保されることになるのです。

次回…高齢者も大きな役割を果たす
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