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月刊民商のオススメ講座を紹介
02 . May
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10 . June
 今回は前回に続きヒト・モノ・カネのうち、なりわい経営に大事なヒト・モノの競争力を取り上げます。今回取材で取り上げるのはヒトではマンパワーであり、モノでは店という舞台演出ということです。

ヒトの非価格競争力その3 マンパワー・とりわけガッツ

 なりわい経営はヒトで成り立ち、その人的資源=マンパワーは、中小業者のたくましさ・ガッツで成り立ちます。このことを感じさせる古い知り合いがいます。この人はぬいぐるみの製造会社が倒産し賃金を得るために、ぬいぐるみを全国に行商するなかで、そのクリーニングを思い立ち、特殊クリーニングの世界に飛び込みました。特殊クリーニングとは絨毯・カーペットなどの大型のもの、革製品や和服など洗濯が難しいものを専門に扱う業種です。

 今から30数年前に洋風化の波が住居に押しよせ、大きなモノを洗う需要が発生しました。ところがこの需要、季節が夏場に集中し経営として安定させることが難しく同業者が次々と廃業したそうです。いかに経営を安定させるか季節を通して取れる仕事をつくるしかありませんが、そこで目をつけたのがブランドなどの革製品と和服でした。こういうものは町のクリーニング店では『難しい』と断っていましたが、それを一手に引き受けたのがリスクを恐れぬこの人の中小業者としてのガッツでした。

なかでもブランド品やぬいぐるみなどの愛着ある品物の洗濯は損害賠償を恐れて手を出す人は圧倒的少数でした。特に最近のブランド品は皮だけでなく布の部分が増えていて余計難しくなっています。こういうものを一つひとつ手で水洗いして汚れを落とす。力もいるがそれをガッツで乗り越える。こうして今や650軒のクリーニング店から注文が入る信用を確立しています。クリーニング店の方も、客の注文になんでも応えると客の信用を拡大しています。

「失敗したらどうしよう」と誰もが躊躇しますが、「失うものは自分だけ」のなりわい経営だから「このリスクに挑戦できた」と、この人は言います。この人は商売を始めて民商に入ったころ、子どもを難病で亡くしています。子どもの手術で血液が必要と言われ、民商なら会員も多くなんとかなると思い訴えました。ところが民商からの献血は1件もなかったのです。子どもは亡くなり、普通なら民商にも失望するところですが、この人は逆に「こんな民商ではアカン」「自分がなんとかしてやる」と決意して、民商三役に名乗り出ました。そして当時、千数百万円もあった民商の未収克服の運動の先頭に立ちます。何事も問題を正面からとらえ、前向きに乗り越えるガッツが、なりわい経営の最大の人的資源=マンパワーだという例です。

次回・・・ヒトの非価格競争力その4 マンパワーはガッツのもう一例
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30 . June

人の非価格競争力 その4 マンパワーはガッツのもう一例

 今月会ったもうひとりからも中小業者の経営の原点を教わりました。この工場はどこにでもある金型工場です。経営者親子プラス2人の職人で、主にゴム製品をつくる金型の受注生産をしています。受注生産の下請けだけでは先がないと、自社の金型で油圧・空気圧用のゴムパッキングとOリングの製造販売に乗り出しました。これがうまくいき従業員も30人を超すまでの企業規模に発展していきます。しかしこの会社の原点はなんといっても金型生産です。金型生産での非価格競争力は、なりわい経営に多いガッツあるマンパワーにあります。取引先がこの会社に仕事をだすのは納期に絶対に責任を持ち、製品を相手が納得するまで仕上げる信用力にあります。そのためにはどんな無理な注文にも応える『相手の立場に立った』やる気・ガッツが客を引き寄せます。

 筆者が訪問したのは金曜日ですが、この日も月曜に船がでるから、残業代や休日出勤費用は出すから(これは当然断ったようです)、土日に間に合わせて欲しいとの無茶な注文があり、その体制を組んでおられました。客があってのやりがいだからと従業員も当てにされることを喜んでいます。少ない人数のうちはそうでも、30人になってその体制が組めますかと聞くと、工場は大きくなっても原点は変わらないことをみんな理解していると言います。そのために会計を含めてあらゆる情報を従業員に公開し風通しをよくして、家族的ななりわい経営のよさである相手の立場に立ったガッツ・頑張りの重要性を強調しておられました。

 さて自社製品の製造販売ですが、ゴムの部品加工には困難が多いのです。ゴムは温度で寸法が変わり、そのため金型の製造にも気を使います。不都合だとすぐに手直しが必要で、そのために自社金型が強みになります。その上ゴムの材質自身が日進月歩で研究が欠かせません。製品となるとコスト競争・価格競争も避けられません。そのため、このたび労賃の安い中国に自社専門の金型工場を出す予定だそうです。企業化すれば、たちまちカネの競争に巻き込まれる典型です。前日に中国から帰られた専務によると、もう中国から撤退する企業ばかりで、今から行く人は珍しいと言いながら、自社製品を持つためにコスト競争をせざるを得ない事情を語られました。


次回・・・モノの非価格競争力 その3 店の演出

10 . July
モノの非価格競争力 その3 店の演出

 なりわい経営は伝統に胡坐をかいてものごとに安住する存在ではありません。いまの時代は流れが早く、とりわけ消費については次々とトレンドが形成されるなかで、このトレンドを無視して経営の発展はありません。それどころかトレンドの先を行くぐらいの時代に対する感性を求められているのです。この感性を発揮する場所が店であり、店はあなたの才覚のステージであり舞台です。なりわい経営ではあなたの個性がそのまま店に反映し、店を彩ります。この間訪問したなかから、そんな演出の一例を紹介します。

 串揚げの店の演出

 大阪の都心近くにある若者向けのおしゃれな串揚げ屋を訪問しました。ここでは店をステージと見立てその舞台で演出することの大事さを学びました。まず店に入ると、いまの流行の照明の工夫に気がつきます。全体を暗く浮き立たせるところにだけ光を当てることによって、狭い店ながら周りの客が気にならない個室感を出しています。この店の売りは若者向けの低価格のコース料理です。テーブルに着くと割りばしを3倍ぐらいにした棒が置いてあります。客はなんだろうと手にとって見ているが分かりません。実は串揚げのコース用の大皿を斜めにする置き台ですが、客に待つ時間の話題を提供する仕掛けになっています。コースを注文すると大皿にキャベツが山盛りにきます。これだけで若い女の子は、「なんてヘルシー」となります。誘った男も当然気に入ります。要するに、なんでもない、ちょっとした仕掛けで話題とサプライズを演出しています。それによって店が舞台という装置にかわり、そのステージで客との一体感が演出されます。なんでもないことですが繁盛店にはこうした仕掛けが用意されているようです。
 
 この店も民商の商工交流会で報告され、みんなのアイデアのヒントとなっていますが、こういう店をステージ化する演出のヒントは、話し合えばいくらでも出てくるということです。

次回・・・ステージ演出のあの手この手
18 . July
モノの非価格競争力その4 ステージ演出のあの手この手

 民商の商工交流会などで聞いた店の演出について基本的なことを触れておきます。

①色の統一。
基本的なことですが店の演出として色を統一することが必要です。昔は厨房設備や冷暖房も色は限られ店のカラーの統一は難しかったので、それが引き継がれ基本となる色は決まっていない店が今もあります。現在はほとんどのものは色を統一できます。大事な商品は雑然とした色の中にあるよりも店の色調の統一の中で引き立ちます。あたなの好きな、もてなしの色で店を演出することが大切です、

②季節の先取り。
店を演出する上で季節感を取り入れることは基本です。なかでも話題づくりのためには季節を先取りした演出は欠かせません。

③イベント
イベントは人の気分を変える重要なとりくみです。これも季節を濃厚に反映しますが、ひな祭りデーやこいのぼりデー、七夕デーやお月見デー。大衆食堂であらば、たけのこデーや初鰹デーなどちょっとした演出をしてみたらどうでしょうか。

④仕入れ戦略。
さまざまな打って出るとりくみをしようにも在庫が多く必要な品物を仕入れるカネがないことが話題になります。こういう人にあといくら売ればできるようになりますかと聞いても、はっきりと答えられない人が多いのです。うちの店は坪当たり家賃はいくら、経費はいくらはすぐに出ます。そうすると坪当たりの売上目標は上代(売り値)でいくら、下代(仕入れ値)でいくらもすぐに出ます。この売上を確保するための坪当たり商品在庫はいくら必要かも、回転率でいつも頭に入っていなければなりません。そして、ここは仕入れたほうがいい、仕入れをおさえるほうがいい判断し、イベントについても計画していくのです。店を演出するためには緻密な計算が必要です。こうした計算によっていつまでみ飽きない店にしていくのが商いなのではないでしょうか。

次回・・・モノの非価格競争力 その5 食堂での演出
25 . July
モノの非価格競争力その5 食堂での演出

 さまざまなおかずをそろえた大衆食堂という形がはやってきています。街にチェーン店を多く見るようになりました。これは単品中心のファーストフード店では栄養のバランスが取れないことからの当然の傾向です。こういうなかで食堂チェーン店でも定番のおかずで飽きが出るのは当然です。この点、なりわいの食堂では毎日おかずに変化をもたらすことができ、それだけ経営はたいへんですが根強いファンをつかめます。

 このなかでさらに変化をつくりチェーン店に負けない方法として「限定」を考えて見ましょう。例えば食堂などでいま歓迎されているのは15食限定メニューです。これはなりわい経営にとって大変便利な演出になります。限定という打ち出しは昔は「けちくさい」「小さな店はこれだからイヤだ」と思われがちだったのですが、今は限定にそう思う人はいないのではないでしょうか。逆に限定だから特別扱いしてもらっていると歓迎されるようになっています。毎日来る客にいつもと違うものを出して喜んでもらう仕掛けであり、店のほうは材料の仕入れと仕込みの準備での不確かさがなくなります。例えば昼の定食がメインの食堂ではタイカレーやネパールカレーを限定メニューで出してはどうでしょうか。タイカレーやネパールカレーはおいしいという評判はよく聞きますが、わざわざカレーのために専門店に行くのも気が引けます。だからと言って家でつくるのもたいそうで、話だけで食べたことがない人が多いのではないでしょうか。「限定」は店にとってもメニューを広げる絶好の機会です。小回りのきく、なりわい経営がもっとも得意としていい戦術です。

今月のワンポイント  「においの怖さ」

 掃除の大切さは先月触れました。今回はにおいです。
 掃除は見た目だから片付けたらしたことになります。ところがにおいだけはすぐに消えない。例えば夜遅くなりテーブルや厨房の片付けを朝におこなった場合、においが残ることがあります。においというものは、その中にいる人は気づきませんが、外から来た人にはすぐに分かります。家で飼っているペットも同じです。注意、注意。

次回・・・モノの非価格競争力その6 他にないモノを売る米屋


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