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02 . May
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10 . February
高齢者も大きな役割を果たす①

 第4に学ぶべき点として、地域づくりにおいて、高齢者の役割が大いに生かされている点です。現代の日本では、「高齢化」という言葉は、とくに経済成長や財政危機との関係で、否定的な響きで語られる傾向が強いと思います。栄村は、06年10月時点での高齢化率(65歳以上の人口比率)が42%を超える高齢化先進地です。厚生労働省によれば、2050年の日本の高齢化率は36%と推定されていますので、50年以上先の日本の平均的な状況を先取りしているところでもあります。栄村の地域づくりは、半世紀後の日本のあり方に対しても大きな示唆を与えているといえます。

 人間は、高齢化とともに、体力が衰え、心身の病気にかかりやすくなります。だからといって、家や病院、老人福祉施設に閉じこもって生活をすれば、健康で、生き生きと生活できるわけではありません。むしろ、少々具合が悪いところがあったとしても、時折、医者に診てもらいながら健康管理をし、雑穀づくりなど、自分の得意技を生かして、仕事に打ち込み、仲間やお客さんと交流し、伝統料理やお祭りを楽しむことで、肉体的にも精神的にも充実し、元気に過ごせるのではないでしょうか。

 これは、戦後の長野県で展開されてきた「PPK(ぴんぴんころりん)運動」の考え方でもあります。佐久総合病院の創設者である故若月俊一さんらによって展開された在宅医療の地域医療運動は、この栄村にも根付いています。生涯現役でピンピン働き、最後は家族に送られながら畳のうえでコロリと旅立つことが、もっとも人間らしい死に方であり、生き方であるということだと思います。

次回・・・高齢者も大きな役割を果たす②
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04 . September
高齢者も大きな役割を果たす②

 栄村では、雑穀生産だけではなく、「ねこつぐら」づくりや手打ち蕎麦づくりなど、いろいろなところで、高齢者の方々が生き生きと働いておられます。ちなみに、05年の国勢調査によると、高齢者のうちで就業している人の比率は、長野県が30%と全国トップですが、栄村は47%で県内第4位の高さになっています。しかも、長野県は1人当たり老人医療費が全国最低であり、栄村は県内第6位の高齢化率であるにもかかわらず、県平均の老人医療費を下回っているのです。これには、下駄履きヘルパーの活躍などによるきめ細かな在宅介護サービスも大きく貢献しているといえます。ヘルパーの話については、次回にあらためて述べてみたいと思いますが、右の数字は、栄村の高齢者の多くが、地域づくりの現役として活躍しており、しかも健康に暮らしていることを示しているといえます。
 
 さらに、高齢者が働きやすく、生活しやすい環境を、村が住民とともにつくってきていることも重要です。田直し事業は、高齢化率が60%を超える農家でも借金が出来る負担額に抑えられていますし、整備された水田での高齢者の農作業が楽になるように機械の導入への支援がおこなわれたり、あるいは軽量野菜など労働負担が少なく有利な価格で売れる農産物生産を奨励しています。

 加えて、雪害対策のために、融雪型屋根への改良のための融資制度や、集落単位での生活道路の改良、流雪溝などの改良工事を補助しているうえ、雪害対策救助員という冬場だけの公務員をおいて、ひとり暮らしの高齢者など急を要する住宅の除雪に直接職員を派遣しています。これは、建設業従業者などの村民の冬場の仕事づくりでもあります。昨年の大豪雪の際に、この救助員が大活躍しました。近隣の自治体では、除雪のための補助金制度を設けていたのですが、人手不足のため作業賃金が高騰し、お金があっても、除雪してもらえず、不安な日々を過ごした村民が多かったのですが、栄村では、いつもの冬と同じく、雪害対策救助員が困っている家に急行して、被害を出さないことに成功しています。

 村は何よりも村民の命とくらしを守るためにあり、しかも、地域の現状にあった知恵を出すことによって、雪害対策だけでなく、冬場の就業機会の創出も可能な制度を生み出すことができているといえます。

次回・・・高齢者も大きな役割を果たす③
04 . September
高齢者も大きな役割を果たす③

 最後に、高齢者が受け取っている年金が、栄村の地域経済を支えていることも重要です。年金経済の話は、前号でも述べましたが、高齢化が進む地域においては、高齢者が受け取り、支出する年金の流れが、地域経済の大きな部分を占めるようになっています。99年度に栄村の高齢者が受け取った年金総額は、約10億円であると推定されます。この金額は、村の小売販売額12億円に相当するほか、製造業の付加価値額のほぼ2倍に相当します。また、村の一般会計の約3分の1の大きさにあたります。

 「地域内再投資力の発見」で紹介した京都府大江町(現・福知山市)での年金世帯の家計支出調査によれば、年金の支出先の多くが、町内の商店や福祉サービス業、工務店、バス、タクシー業などでした。おそらく栄村でも、高齢者の年金が、村内の生活関連産業(まさにコミュニティービジネスです)に流れ、そこでの経済活動や相対的に若い世代の雇用を持続可能な形で生み出しているのです。

 その際、村がおこなっている細かな高齢者福祉をはじめとする独自施策が、年金の地域内経済循環のパイプ役として機能しているわけです。このようなことを考えると、年金普及額を引き上げたり、消費税率を引き下げれば、高齢化が進んだ地域経済への波及効果は、即座に出るのではないかと思います。

 政府は、公的年金制度の解体と、民間保険化を見越した給付額の削減、税金や各種保険料での高齢者負担の増大を進めていますが、これは高齢者の生活の維持にとっても、地域経済の持続的発展にとっても、百害あって一利なしといってもいいものだといえます。

     ・・・完
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