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19 . March
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29 . February
自営業研究者 三方 良(みかた りょう) さんのレポートです。

今なぜ「なりわい経営」か

「 なりわい経営」とは第1に生業ではないが家族中心の「小の経営です」。経営で小が大に負けないためには非価格競争と言う土俵で勝負しなければなりません。値段と広い品揃えでは勝てないのだから、それに代わる特色をいかに出すかという問題になります。この連載ではこの点を第1にレポートしていきます。

 第2になりわい経営は人優先の経営、「人間復権の経営」です。なりわいが見直されている原因の一つは現代社会の行きつまりであり、効率を追い求め人の存在を忘れることにあります。それが現代の出発点である近代に戻って社会や生活を見直そうという「なりわい」への注目につながっています。現代はなぜ人を忘れるほど効率に走っているのか。それは成長経済の下では効率での競争がすべてだからです。成長経済が終わり成熟経済に入ると、企業の競争は効率などの量の競争から質の競争に変わります。その質の中心に人が本当に満足するほんものやこだわりが求められ、非価格競争で小が大に勝つ展望が生まれてきます。
 ヨーロッパでは70年代から社会は成熟段階に入り、それとともにスモールイズビューティフルが社会の風潮となり、80年代から中小企業(従業員250人以下)が増え、とりわけマイクロ企業(従業員9人以下)が増えています。日本は2~30年近く遅れ経済は成熟段階に入りつつあります。ところが日本では成長経済が大きすぎたことから中小企業の多くが大企業の下請や系列で、コストや効率の量の競争においまくられ質の競争への転換のための、自らの経営を差別化する非価格競争の準備が整っていませんでした。この連載では第2に日本のマイクロ企業とも言うべきなりわいの人優先の経営をレポートしていきます。

 第3になりわいの特徴である地域密着の経営です。民俗学の生業研究でもなりわいと地域の関係が重視されます。例えば琵琶湖の堀を巡るなりわいが挙げられます。琵琶湖には水運のため多くの堀があります。この堀にはすぐに水草が生え泥がたまり船が通れなくなります。この堀の浚渫を水運業者ではなく近所の農家が毎年します。農家は堀の藻や水草、泥を浚渫し田に入れ肥料にします。こうした田の土は3~50年で入れ替えますが、水運業者がこれを瓦業者に運び瓦にします。このようになりわいは地域で相互に結びつき人の暮らしを支えてきました。このような例は養蚕のさなぎ→さなぎを餌に養鯉→鯉が水温を上げ害虫を食べ糞が肥料となり稲作など各地になりわいを生んできました。
 
 なりわいは地域の特性、地域の資源と結びついて成り立ちます。いま流行の地産地消やスローフード(ゆっくり食べるではなく地域の素材を生かした料理文化の食生活)だけでなく、この連載では、高齢社会での役割にスポットを当て、なりわいの経営を見ていきます。

次回・・・・『なりわいの原点は三方良し
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29 . February
なりわいの原点は「三方よし」

 
売り手良し・買い手よし・世の仲良し、の三方良しがなりわいの原点とされています。これは近世のあきないをリードした近江商人が家訓としたことで有名です。世の中良しとはどういうことなのでしょうか。近江は京から諸国への交通の要衝で、近江商人の原点は都のものを諸国に行商することで、このなかで商売を学んだと言われます。
 
 行商には信用が第一で、旅先で信用を得るにはその地域の暮らしを知り、それを良くするものを売り買いすることしかない、つまり世の中に役立つことしかないと理解しました。これが「売って利益があります、買い手も喜ぶ」という普通のことを越えた発想を生んだのです。「近江商人商売10訓」というのが伝えられていますが、その5番目に「無理に売るな、客の好むものも売るな、客のためになるものを売れ」というのがあります。これも現代のニーズ論への痛烈な批判になっています。

 いまの時代に世の中良しにあたるものはなんでしょうか。最もわかりやすいのが環境問題でしょう。その環境と結びついた資源の浪費に対する関心も強いです。しかし環境問題はいち早く大企業によってニーズに組み込まれてしまっています。中小業者にとってはどういう世の中良しが最求められているのかを連載で取材し討議してきます。

次回・・・なりわいにいま起こっていること
29 . February
なりわいにいま起こっていること

 80年代までの日本は中小企業の最優秀国だといわれてきました。ジャパンアズナンバーワンの時代には、海外から日本経済の強さの秘密を、大企業での日本的経営と膨大な中小企業の存在にあると、視察もされ注目されました。この中小企業が80年代中ごろから増が止まり、90年代から減りだし、今世紀になってもその勢いは一向に止まりません。とりわけ家族中心のなりわい経営で減が最も大きくなっています。
 
 中小企業全体の減は産業の空洞化や輸入の急増、大店法の撤廃などで説明できますが、規模が小さいほど減が多いのはなぜでしょうか。その原因はこの間の不安定雇用・非正規雇用の急速な拡大だと思います。このことによって中小業者の営業環境は急変したのです。残念ながら日本の中小業者、とりわけ小零細業者の強みのかなり大きな部分を低マージンでの長時間労働が支えていました。しかもこの低マージンの長時間労働が高い技術と技能をともなったものだけに、80年代までは中小企業の人を雇わない自営業の方が、経費がかからず不況にも強いと言われてきました。

 これが今回の長期「不況」では全く様相を変えたのです。(不況と言うより成長経済の終わりで成熟経済)入り。) 小零細業者の最大の強みの低コストは圧倒的多数な数の不正規雇用の低賃金によって一気に突き崩されました。
 
 例えばスーパーマーケットは消費者の消費行動と早くから合わないで、利益らしい利益もあげていないにもかかわらず、なぜ規制緩和であれほど一気に出店ができたのでしょうか。それは圧倒的なパート労働者の存在なしに考えられません。昼の就業のスーパーならまだパートタイマーで説明できますが、夜間も就業が必要な外食産業がありとあらゆる業種で次々と生まれ、それが瞬く間に全国に展開できたのは、若者のフリーターや派遣労働者などの超低賃金・不正規時間での確保がいくらでもできたからではないでしょうか。

 若者の失業率の高さはこれまで若い人が嫌がった建設現場に若者を引き寄せ、1次・2次の数人規模の工事会社も若者を常雇いで確保しだしました。こうした影響が下請の1人親方の仕事をなくし、単価が長期にあがらない状況をつくっています。もしこのことが事実だとすると規制緩和による非正規雇用の増大政策が中小企業を追いつめていることになり、この苦境からの脱出は格差社会克服の国民的運動にあるとも言えます。同時に非正規雇用を今の自由に使える条件が終わったときに、なりわい経営の展望についてもこの連載で見てみたいと思います。

次回・・差異と同調
29 . February
「なりわい経営学」というものはおそらくこの世にはないでしょう。人に聞くと民商運動とは「道なき道を切り拓く」運動だそうですが、それに学んで小さな規模に役立つ経営の連載をしてほしいと言われています。世の中コンサルティングブームであり経営本ブームです。この連載もその一種になってしまっては何もありません。幸い著者には時間があり、知り合い業者も多いです。できるだけ現場に足を運び取材し、討論して、みんなの意見で内容をつくっていきたい。ご意見は『月刊民商』編集部までお願いします。

なりわい経営学 
 今回のワンポイント 差異と同調

 消費者行動で「人と違うものを持ちたい」が差異指向、「みんなが持つものがほしい」が同調指向といいます。人間にはこの両面があるから難しい。それも同じ人の中にこの両面があります。

 なりわい経営での仕入れや品揃えの場合、この差異と同調をどう考えるかにいつもぶつかるのではないでしょうか。売れる量は明らかに同調が多いはずです。しかし逆に言うとどこにでもあり価格競争に巻き込まれることは避けられません。
 
 なりわい経営では差異を重視する方が賢明です。しかし差異を出す品揃えや仕入は難しいし危険もともないます。

 経営者のセンスと研究が欠かせません。しかし商売人はプロだから研究しないでは通りません。その上で差異で行き、あの店は面白いと評判をとることになります。この差異と同調は製造業にも言えます。広く浅くなんでも加工する(同調)よりも、狭いがここでしかやれない特徴(差異)がなりわい経営では大事になります。

次回・・・『なりわいの社会学』
29 . February
今回は『なりわい』が求められる社会の事情を見てみます。名付けて「なりわいの社会学」が今回のテーマです。

社会学とは現実の社会の動きを説明する理屈(論理)を打ちたて、その説明によっていかにも「なるほど」と思ってもらう学問とされます。社会学のテーマは無数にあります。それぞれが「これは面白い社会現象だ」と思えば、○○社会学と命名することになるようです。例えば消費に関心があれば消費社会学、都市に関心があれば都市社会学、犯罪に関心があれば犯罪社会学などなど(以下家族・産業・情報・マスコミ・集団・余暇・遊びなども)。

 そういうこどだから勝手に「なりわいの社会学」を名乗っても罰はあたりません。しかし社会学を名乗るには条件があるようです。その条件は①明快であること ②当たり前でないことです。

なぜなら「本当の知識は伝達できるものでなければならない。つまり、人にわかるように言い表すことができなければならない。しかも、何か言うに値すること、これまで知られていなかったことで、それを知れば知る前とは何かが違ってくるようなことがそこに含まれていなければならない」と言います(アメリカの社会学者ランドル・コリンズ「脱常識の社会学」)。

要するに偉そうに社会学と名付けるからには、分かりやすく、人をはっとさせることを言えと言うわけです。これから展開する「なりわいの社会学」がこの条件にかなうのは難しいですが、とにかく挑戦してみます。

次回・・・『なりわい社会学』成立の前提
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