なりわい経済学の課題(1)
分業の弊害克服
現在の市場万能の経済学に対して「それは違うだろう」と言う声が大きくなっています。まず市場の前提には分業があるわけですが、この分業が果たしていいのかどうかが問われだしています。分業は生産力を圧倒的に増やしますが弊害も目に付くからです。
例えば社会があまりにも分業され生産者と消費者の距離が離れてしまうと、消費者が何を望んでいるかに鈍感な状態で、もの作りが続けられることになります。今回の不二家の不祥事などはその典型で、生産者が自分がたべるものだったら工場にねずみが走り回る環境でお菓子をつくることはないでしょう。
いまアパレル業界ではSPAといわれる製造小売業、自社の生産品を直接小売りする企業が主流になってきています。これも分業の弊害をなくすための試みと言ってよいでしょう。分業の弊害は製品の欠陥だけでなく人間にも欠陥をもたらします。工場の一部門で一生それしかしない人生を若者は嫌いますが、これはある意味では当たり前でしょう。このように今の大企業は分業の弊害とのたたかいが主要な課題になっていますが、この克服にとってなりわい経営学が一つの答えとなっているのです。
次回・・「効率」の弊害克服