『宝物』探しの技法 交流と学習(1)
では、どのように足元の地域で、『宝物』を生み、それを育んでいる団体や経営、個人を探したらいいのでしょうか。
由布院の場合は、震災をはじめとしたさまざまな危機に直面した旅館の若手経営者が自主的に集まった有志の会で、交流し、学びあったところから、地域の『宝物』を発見し、それをつなぎあうとりくみが開始されました。
このように、地域づくりの必要性を自覚した人たちが交流し、お互いに情報交換し、仲間をふやしながら、学びあうことが、まず必要だといえます。
いま、日本中の地域が経済的にも社会的にも疲弊した状態にあります。絶好調の景気のなかにあると言われている東京でも、それは大企業の本社があつまる都心部のことであり、下町や郊外では格差が広がり、貧困化がすすんでいます。そういう意味では、全国のどこでも、地域の持続的発展が危機的状況に置かれていると言えます。したがって、住民の生活と住みよい地域環境を再生するというこは、圧倒的多くの住民の共通の思いではないでしょうか。
そのなかで、まず、できるところから仲間が集まり、仕事の話、地域の話を交流することが大切です。これは、民商の定期的な会議で行えることですし、他の団体との協同組織のなかでもできることです。最近、商工交流会のなかで個別の会員の仕事の紹介や展示等が盛んにおこなわれていますが、実は、このようなとりくみも、「宝物」探しのひとつの技法であるといえます。 民商の場合、会員ははじめから地域経済の担い手である中小経営者です。したがって、そこで情報交換を通して、自分たちの仲間が、どのようなこだわりをもち、いかなる工夫をし、仕事や商売をしているのかを知ることができます。また、それによって自分の経営を見直したり、さらに、お互いの仕事をつないで、異業種交流をおこなうことにも発展していったりする可能性もたくさん存在します。
さらに、地域にある他の団体との協同のとりくみも重要です。商店街組合や各種商工団体、あるいは労働組合やNPO、農民団体との交流をすることで、それぞれの地域で工夫しながら頑張っている人々とのつながりができ、よりいっそう地域の「宝物」が見えてくることになります。
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