K製作所のMさん
①技術で生きる 商工交流会で自信から確信へ
現在の親企業は下請けに長時間・低賃金労働を求めてはいけません。これは派遣労働法が解禁され、代わりはいくらでもいるからです。親企業は下請けに高い技術とそれに付随するリスクの受け皿を求めています。このことは下請けにピリピリした緊張感を強い、下請け経営は精神的に24時間非人間的な過労なものとされています。下請けは技術力と納期と品質、そのうえあらゆるミスをなくす緊張感、これに耐えるものだけが生き残れる世界なのです。
知り合いに親の代からものづくりをしているK製作所(有)のMさんがいます。親の代には精密機械の代表であったミシンの制作をしていましたが、その高い技術と思っていたミシン工業まで繊維工業と一緒に海外に行ってしまい、彼が経営を継ぐころには転業せざるを得なくなっていました。彼は「ミシンまで海外に行くぐらいだから、転業するならよほど難しいものでないと」と思い、当時あまりなかったステンレスの精密加工にとりくむことにしました。最初はジグ(治具)や高価な材料を壊してしまい赤字の連続でしたが、ようやく技術的には軌道に乗り出し自信を得ていく。この自信を確信に変えたのが商工交流会への参加でした。
1993年に神戸で行われた商工交流会で「トンネルを抜けると線路ではなく高速道路に変わっている」と言う議論を聞き、その変化を肌身で感じ必死に転業を図っていた彼には、その方向への思い切った転換を図ってよかったと確信します。当時そのための設備投資は数千万円に及び、まさに背水の陣でしたが、これ以外生きる道はないと確信を与えられます。
次回・・・K製作所のMさん ②いつの間にか「○○○に入ってる」