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21 . September
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20 . October
ベアリングのT鉄工所

 同じく長年の知り合いにT鉄工所のTさんがいます。Tさんは地場産業で多くいたベアリング製造業者です。ベアリングは機械の動く部分、接続部分に必ず必要な部品です。この部品はロボットのように機械の高度な動きが増えるたびに数も増えますが、一方でますますベアリングも高度で複雑になり、しかも動きがある部分だけに精密さが要求されます。このなかで数多くあったベアリング工場も淘汰され、過当競争もあって小さなところは次々に廃業に追い込まれました。T鉄工所は小さな工場を夫婦2人で営んでいます。それでも仕事が絶えないのは段取りのよさと時代の動きを先取りした設備投資で取引先の信用を勝ち取っているからです。
 
 納屋にはNC設備とロボットが所狭しと備えられ、1日中無人で仕事をしています。人出は段取りと検査だけです。この合理化が夫婦で月商300万円近くを稼ぐ原動力です。最近おこなった難しい仕事ではT自動車のハンドルの自動調整装置とか、M電器の室内給湯器とも湯機の部分とかを扱いました。こうゆう一流メーカーの仕事がとにかくやってくれと入ってきます。しかしTさんのところでこなせるのは月産2万個が限度です。ハンドルの場合高級車から大衆車にこの装置が広まると数が増えて、とてもできないので仕事が全部なくなります。給湯器も増えてくると切削からプレスに変わって仕事がなくなります。そういう意味では大量生産までのつなぎの役割をTさんのところではしていることになります。

 こうした小回りの効く仕事に優位性を見出し生きていっています。現在どこでもと思いますが検品の要求が非常に強まっています。ベアリングの軸受けでも精度が0.03ミリを要求されます。軸受けが軽く薄くなると温度でも自然にゆがみが生じます。このゆがみを発見するのも下請けの役割に加えられてきます。この見た目では分からない精度を感知する検査機を買えばあるのですが、いつまで続くか分からない仕事に何百万もかけるのはもったいない。そこで小さな卓上の検査機を自社で開発しています。

 経営はいくら忙しくても人を入れずコスト高にしないことに優位性を見出しています。この優位性があるから有力な仕事でも量が増えれば「よそに持って行ってくれ」と余裕でいられるのです。自社の長所は技術も設備も小回り力と割り切って、ぎりぎりまで合理化をすすめながら量産に走らない戦略をとっています。これが夫婦2人のなりわい経営の極意なのです。

次回・・・下請けの非価格競争力3 S金型製作所
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