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2024/09/21 (Sat)
栄村の地域づくりに学ぶ①-3
14 . October
自治体の公共事業を住民のものに 1
第2の学ぶべき点は、村の公共事業が、住民のために工夫しながら行われていることです。その代表例が、有名な「田直し事業」です。田んぼの圃場整備をおこなう事業ですが、平場の農村では通常農林水産省の補助金を使っておこなわれていますが、栄村では村の単独事業でおこなっており国の補助金は使っていません。それには、いくつもの理由があります。ひとつは、栄村の農地の特殊性によります。栄村は、村全体が山村であり棚田や谷田が多く、まとまった平坦な圃場はほとんどありません。農林水産省の補助金事業で建設工事をおこなうと、反(10アール)当たり200万円を超えてしまうほか、傾斜地の法面が多くなるために実際の圃場が狭くなるという問題がありました。補助金事業は、100%国や県がお金を出すわけではなく、土地保有者である農家も自己負担しなければなりません。しかも、補助事業の多くは地域外の大手建設業者が受注することになります。
ところが、栄村の農家の高齢化率は60%を超えており、多額の借金をすることは不可能なことでした。他方で、高齢化がすすむなかで、農作業をするために機械を入れたいという要求も強く存在していました。それを解決するための妙案が、村の単独事業でおこなう「田直し事業」でした。高橋村長の友人でもあった広瀬進村会議員が、隣接している新潟県・津南町で古くからおこなわれていた農民主導の圃場整備事業にヒントを得て、提案したものです。夏場に、農家と村の担当職員、そして建設業者の三者が圃場に立って、どのような工事にするのかを決めます。その際、設計料はとりません。通常の補助金事業では、事業費の1割近くが設計料となっていますが、それが節約できるわけです。
また、圃場整備工事そのものは、冬場除雪に使っている村の重機を活用し、建設業者はオペレーター契約で雇われています。これで、反当たり最高40万円に抑えることができました。また、そのうち20万円を村が補助し、残りの20万円を1年据え置き、5年償還で返す返済システムをつくりました。栄村はコシヒカリが大変美味しいところで、しかも反当たり平均8俵とれるところです。米価が高かったころは、このうち毎年2俵を返済にあてればいい計算になり、借金の負担も大きく軽減され、多くの農家が田直し事業に参加しました。
この田直し事業は、補助金による大規模圃場整備事業と比較して、いくつもの効果を生み出しています。ひとつは、農家の家計と村財政の負担を大きく軽減したことです。また、村内の建設業者に工事が発注されることにより、村の支出が地域内に循環し、建設業者の投資力と担税力を高めることになりました。さらに、圃場整備をおこなった結果、稲作の共同作業を始める集落が生まれたり、村が生産資材を支援したこともありチンゲン菜やホウレン草などの軽量野菜、菌茸類の出荷額が増えて、農家1戸あたりの農業生産額が県平均を上回るようになったりしました。つまり、農家の投資力を高める効果も生み出したのです。
次回・・・自治体の公共事業を住民のものに 2
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2008/10/14 (Tue)
栄村の地域づくりに学ぶ
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Comment(1)
無題
村の職員の皆さんが少しでも村の負担が少なくなるよう一生懸命勉強したんですね。
Mさん / 2008/10/21(Tue) /
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