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30 . June
『豊かさ』を問い直す

 高橋彦芳村長や中谷健太郎さんの話や地域づくりのとりくみの歴史を聞いていると、その目標が、世上で言われる金銭的な『豊かさ』ではなく、自然とともに共生する人間的な『豊かさ』を、住民一人ひとりが実感できるところにおかれている点でも共通していることが分かります。

 立派な道路やハイテクの工場、きらびやかな高層ホテルができたとしても、その地域に住む人々の暮らしが成り立たなくなったり、向上しなかったとしたら、それははたして『豊になった』と表現できるのか。このような、高度経済成長期以来の日本の政財界がつくりだした大企業本位の「成長神話」に基づく価値観に対して、地域にしっかりと腰をすえ、そこに住む住民の視点から、自然とのかかわり合い、人間と人間とのかかわり合いにおける物質的、精神的豊かさの総体を追求すべきであるという人間本位の価値観が対置されているといえます。

 しかも、そのことを表現する言葉づかいも実に人間味たっぷりで、温かみがあります。高橋彦芳村長は、「一人ひとりが輝く村づくり」を掲げています。最初の村長選挙の際に掲げた公約は、「住民がもっている知恵や技術を生かし、育てることを大切にする住民自治の村政」「住民がふるさとの自然や文化に誇りをもち、明るく活動することを大切にする村政」「高齢化、結婚難、就労、健康問題などの生活不安にとりくみあたたかみのある村政」でした。一部の多国籍企業の利益の最大化を追求し、それを支援する国家にすべきであるという現在の財政界の言う『グローバル国家』の考え方とは、真っ向から対立する、一人ひとりの住民の人間らしい生活の実現をうたっている点は目が覚める思いがします。

 若いころの中谷さんが、『花水樹』の創刊にあたって記した言葉も印象的です。「由布院の町がどんな産業を持ち、どんな文化を形成しうるかということは、すなわち私たち由布院に住む者が、あなたが、私が、どんな産業を望み、どんな家に住みたいと思い、どんな食べ物がおいしいと感じ、どんな生き方を好ましいと考えるか、要するに私たちがどうように生きるかにかかっていると思うのです。」そして、由布院の美しさの正体を見極め、それが分かったときには、命がけで『美の根源』を守り育てていくべきであり、「それだけが私たちが子孫に残してやれる大きな遺産になる筈です」と述べています。

 地域づくりは、まさに個々の住民の人間としての生き方が問われるものであり、自覚した個が連帯、協同することに加え、個としての住民が組織化する自治体の力も活用することによって、地域全体としての美しさも創造、継承されるというこどではないでしょうか。

 もっとも地域づくりが人間の生き方の問題であるとしても、肩の凝るような難しいことではありません。高橋村長や中谷さんをはじめ、地域づくりにとりくんでいる人々は、常に周りの人々と語り合い、知識や情報を吸収し、突拍子もないホラ話や夢物語をし、おいしい料理屋酒を愉しみ、実に生き生きとした魅力たっぷりな人物たちです。

次回・・・地域の『宝物』を探し、つなぎあうとりくみ
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