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2024/05/17 (Fri)
地域づくりは、地域を知り、学ぶことからはじまる(3)
10 . June
『ココ学』を究める~大分県・由布院~
NHKの朝のテレビ小説「風のハルカ」の舞台となった大分県・由布院(現・由布市)も、地域づくりの先進地で有名です。今では年間400万人近い観光客が訪問する日本有数の人気温泉地です。しかし、30年~40年前までは、ただの田舎の温泉地にすぎませんでした。しかも、1975年に地震災害に襲われ、温泉地としての危機を迎えます。このころから、中谷健太郎さんや溝口薫平さんら旅館の若いリーダーたちが中心となって、町づくり運動を展開していきます。彼らは「湯布院の自然を守る会」(後の「明日の由布院を考える会」)をつくります。地縁や職種、階層を超えた幅広い分野の住民が自主的に集まり、湯布院の自然や観光資源、農業について学び、将来の町づくりの方向性を定めていったのです。当時年4回発行された機関誌『花水樹』には、その学びと議論の過程が記録されており、復刻版は現代の若い世代に読みつがれています。
中谷さんたちが、多くの借金をしておこなった西ドイツの先進地調査も踏まえて得た結論は、「もっとも住みよい町こそ優れた観光地である」ということであり、豊な自然と温泉、そこに住む人々の充実し落ち着いた生活が、湯布院の最大の観光資源であると考え、「クアオルト(健康温泉地)構想」を由布院町(当時)と協力しながらすすめていきました。一方で、外部資本の進出を『潤いのある町づくり条例』のどで規制しながら、他方で由布院の自然や景観を守るために、農林業の恵みを高級旅館も含めて食材として活用し、映画祭、音楽祭などの手作りイベントを30年以上にわたって実施し、町の保健センター職員の努力によって温泉を使った健康事業を生み出すなどの努力を積み重ねてきました。
その成果をさらに発展させるべきときに市町村合併の嵐が吹き荒れます。中谷さんたちが自立をめざす運動をしたにもかかわらず、結果的に自治体としての由布院町はなくなり、由布市になってしまいました。けれども、中谷さんたちは、落ち込んでばかりいませんでした。合併によって、かえって行政領域と生活領域の違いがはっきりみえるようになったとして、自分たちの生活領域である由布院盆地で、地域づくりを自分たちの力でさらに展開しようと新たな挑戦をはじめています。その手始めが『風のハルカ』であり、農・観・旅の三者の連携の強化を目標としています。由布院盆地の自然の恵みが生み出した有機農業の生産物を旅館が率先して買い入れ、素材を活かした料理法で調理し、旬そのものを豊に食して肉体的にも精神的にも健康を維持、回復できる場をつくるというものです。そのために、農協やNPO法人との連携も強めています。
「地産地消」がいたるところで重視されるようになりましたが、これは単に大量生産・大量販売方式による市場出荷型の農業・農協経営が行き詰まり、新たに市場として地域内市場が注目されるようになったとこから説明されるものではありません。『医食同源』という言葉にもあるように、その地域に適合した安全安心な農林水産物が、自然の一部としての人間の生命力とその健康を育む源泉となっていることが、明らかになってきたからではないでしょうか。しかも、旬の食材は、とれたての場所で食べるのが最も美味しいわけです。由布院の人々は、温泉という地域固有の自然資源とともに、この点にいち早く気づき、地域づくりをすすめてきたからこそ、その先端を走ったといえます。そして、その学びの意欲は、今も衰えていませんん。中谷さんは、最近『ココ学』を究めたいと考えています。『ココ』すなわち自分が住んでいる場である足元の地域のことを、いっそう深く、広く把握したいということです。私は『地域学』と呼んでいますが、個々の地域の個性を究めることが何よも重要であり、それは尽きることのない奥深いテーマであることを、地域づくりのリーダーから改めて教わった次第です。
次回・・・『豊かさ』を問い直す
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2008/06/10 (Tue)
地域づくりは、地域を知り、学ぶことからはじまる
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