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29 . February
なりわいの社会学『便利で効率だけの社会の見直し』

 しかし現在は専門性よりも変わり身の早さが重視される時代です。本当は高い専門性が必要とされ、社会には必要であるにもかかわらず、片隅に追いやられて後継者不足で消滅の危機にあるなりわいがたくさんあります。左官、大工、ふすま職人、建具師など枚挙にいとまがありません。
しかしこれではいかんということに人々が気づきだしているから、「なりわい」と言う言葉が復活しだしているのだと思います。

 例にあげた左官や建具など住に絡む職人たちの仕事の本質は何で、彼らの社会的役割はどこにあるのでしょうか。それは家を呼吸する存在として守り続ける点にあります。家を呼吸する存在とするとはどういことでしょうか。季節が移り変わり寒暖・乾湿の差が大きく、全体に湿度が高い日本の気候には、建物が呼吸をすることが大事です。土壁や漆喰壁、ふすまや障子、材木や畳などはすべて1年中水分を吸収したり放出したりしながら、温度と湿度を調整し住む人の健康を守っています。健康を守るだけでなく冷房や除湿機・乾燥機などを不要にし、そのことによってエネルギーの無駄をなくします。健康や省エネ以外にもこの空間が心の安らぎをもたらす役割を果たしています。住に絡む多くのなりわいは本来日本にとって不可欠な存在だと見直されてきています。

 衣に関するなりわいも繊維の呼吸を大切にする仕事です。綿や絹、麻などの天然の素材からできた繊維は、繊維から衣服になっても呼吸をして、着る人に心地よい肌触りを保証してきました。これがまず栽培の段階で綿などは世界の化学肥料と殺虫剤の4分の1を使用するほど効率的な栽培に変わり、染色でも薬品付けにして呼吸をしない製品にしてしましました。

 大量生産が天然繊維の優位性をなくしてしまうと、あとは天然繊維の優位性よりも丈夫で長持ち、洗濯に強く、価格も安い化学繊維に取って変えられます。その結果がアレルギー物質への抵抗の閾値を高めアトピーの増大です。食でも事情は同じで本当に健康に必要な発酵食品をはじめ職人の活躍する分野が駆逐されてきました。こういうなかでその道の専門家のなりわいが忘れられ、この反省からなりわいとしての生き方が見直されてきたのです。
 
 いま教育が危機にあり、この危機の根底に画一化された社会の子どもたちにとっての展望のなさがあり、子どもたちの「使い捨てされる自分」「入れ替わり可能な存在としての自分」への不安があり、この不安が自分の役割を見いだしたい思いに駆らせています。その役割を求める思いが「なりわい」を復活させる社会現象となっているのです。

次回・・・脱画一化を『なりわい』に求める
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