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17 . May
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25 . August
波田町の産業育成塾

 筆者は、昨年秋から、上高地の麓にある長野県波田町に、月1回、通っています。この町が呼びかけてつくった産業育成塾の塾長としての仕事を果たすためです。塾生は、30~40歳代の農家や商工業者の人たちです。
 
波田町は、梓川の河岸段丘で有名な町であり、段丘面ではコメや果樹、花に加えて、特産品のスイカが栽培されています。塾生の半分くらいは、これらのスイカ、果樹、花農家です。また、商工業者の塾生は、建設業、自動車整備業、金物屋、旅行業、酒販店、造園業等、多種多様な仕事に従事しています。

 最初は、互いにそれほど面識がなかった塾生たちでしたが、地域の歴史や先進事例を学び、アフター・ゼミの懇親会も含めて会を重ねて議論するごとに、地域づくりのネットワークの芽が育ち始めてきています。

2月の例会で、自分の経営と地域づくりの夢を一人ひとりに語ってもらいました。その際に、とても印象的な話を聞くことができました。わずか3年ほど前にIターンでスイカ農家となったD氏の話です。彼は、東京でさまざまな仕事を経たうえで、ある縁
から波田町でスイカを作るようになりました。そして、今、年の半分をスイカ作りに専念し、あと半分は勉強のために全国の優れものの農家を訪ねてまわっていると言います。

 「ぼくは、お金もうけをしたくてスイカを作っているわけではない。作る過程、作ったものをお客さんに食べてもらう過程でできる、人と人との関係がたまらなくいい。農業は、他の産業とは全く異なる、いのちをつくり、はぐくむ活動であり、生きがいである」というのが彼の言です。

 おそらく、代々続いてきた農家の後継者だけでなく、商工業関係者も自分の仕事を見つめ直すきっかけになったのではないかと思います。そのあと、町のなかにある地域づくりの「宝物」を探し、自分や仲間の経営とそれらをいかに結びつけるかという趣旨の発言が次々と続き、議論が盛り上がりました。地域の「宝物」をつなぎ、情報発信し、旅行者に来てもらおうと、新たな事業を立ち上げることを決意した塾生も生まれています。

 大規模な都市自治体では、墨田区のように全事業所調査を定期的に実施し、そこでの経営状況だけでなく経営課題や行政への要望も聞き、それを中小企業施策として実現したり、あるいは異業種交流系統的に支援する自治体も存在します。

 墨田区では、そのような統計的な支援策をすすめるための中小企業振興基本条例も、早くから定められています。このような条例制定の意義については、別の機会に述べたいと思いますが、墨田区のような形で地域内の全事業所の経営内容を把握することができていない自治体が圧倒的に多いのが現状です。しかも、市町村合併によって広域化した自治体においては、地域の経済状況や個別経営の状況まで把握することができなくなっています。

 生活領域に近いところで地域づくりの主体がネットワークを作っていくためには、都市内分権をすすめ政令市の区単位や合併前の町村単位で地域自治組織をつくり、地域づくりがおこなえる仕組みを求めていくことが重要な課題になります。

 いずれにせよ、地方自治体の主権者は、私たち住民であるわけですから、地方自治体のあり方に対しても積極的な発言をしていくことが必要です。

次回…地域内再投資力の発見
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