地方自治体の役割と主権者としての中小企業経営者・業者
その際、地方自治体が果たす役割が極めて大きいと言えます。現在、地方自治体の『市場化』がすすめられ、住民は地方自治体の『顧客』であるかのような考え方が広がっています。しかし、私たち住民は、地方自治体の『主権者』です。税金の使い方をはじめとする自治体の行財政を決定するのは住民にほかなりません。その財政規模からわかるように、地方自治体が地域経済に占めるウエートは大きく、その行政サービスを含めて地域内再投資力を強化拡充し、地域の持続的発展につながると言えます。それだけではありません。
地方自治体が調達する商品やサービス、工事を、地域の中小企業に優先して発注すれば地域経済振興につながりますし、大手企業によるダンピングを放置すれば、逆の方向になります。さらに、地方自治体による税金や各種保険料、公共料金の負担政策や社会保障政策じゃ中小企業・業者の経営や生活に直接影響を与えます。このように、地方自治体の政策は、中小企業・業者にとって重要な意味をもっているのです。
地方自治体の政策を、国に追随するような大規模プロジェクトや企業の誘致政策ではなく、地域に生活する住民『一人ひとり』の人生が輝くような方向に切り替えていくことが求められています。
現に、全国各地で、そのような地域再生、地域づくりのとりくみが展開されています。県や基礎自治体で中小企業基本条例や地域経済振興基本条例を定めて、その地域に合った経済政策の展開をすすめようという自治体も増えてきています。少数の大企業の短期的な経済的利益のためにではなく、住民一人ひとりに視点をおいた地域づくりが現に存在していることに、私たちは大いに励まされます。
次回以降では、各地でのとりくみを具体的に紹介していきたいと思います。地域づくりは難しいことではありません。それは人間としての個性を発揮できる楽しいとりくみでもあります。地域や日本の未来は、主権者である私たちがどのように地方自治体や国のあり方を変えるかに、かかっているといえます。
次回・・・地域づくりは、地域を知り、学ぶことからはじまる