製造業での非価格競争
例えば紳士服。服1着を作るのにイタリアでは130工程もかけますが日本など他の国ではその半分です。日本の服はハンガーに架けて映えるが、イタリアでは人間の丸い身体に合うことを徹底して追求します。日本ではアイロンは仕上げで使うがイタリアでは平面の生地を丸くするために縫製前の生地に使います。肩の芯など要所には一つ何万円もする白馬の毛で作った芯を使います。これほどの服だからデザイナーと同等に職人(モデリスタ)が大事にされて地位も収入も高くなります。
現在日本ではあらゆる製造業での海外生産がおこなわれ、国内の職場では研究開発以外の部門では派遣や偽装請負の非正規社員であふれています。このなかで現場の製造技術や日本企業の得意であった改良・改善の能力はかなり落ちていると言われます。研究によってアイデアが生まれてもそれを形にする能力は、町工場にしかないケースが増えています。
ところが日本のマイクロビジネスはその能力を持ちながら自覚が伴いません。完成品を作るのが偉くて部品や一工程の仕事は下だとする縦型社会の考え方がしみこんで、職人の地位を下げています。企画するだけの親企業や問屋が偉く見えるのは単に市場についての情報をもっていることによります。この情報の非対照をなくすネットワークが日本でも必要になります。
現在ものづくりはソリューション産業に変わってきています。ソリューションとは問題解決という意味です。例えばやみくもに家具を作るのではなくて部屋に合った家具を設計から作って部屋に収めて問題を解決することが求められているのです。ここにアイデアを出し問題解決能力を持った職人が求められます。ものづくりの非価格競争の土俵は確実に広がっているのです。
次回・・・今月のワンポイント 立地の悪さを逆用