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月刊民商のオススメ講座を紹介
05 . September
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01 . September
 モノの非価格競争力その6 他にないモノを売る米屋

 ③専門店から専門家店へ

 S米穀店は明らかに米の専門家としての深い知識と情報に支えられた商売をしています。いま求められるのはこの専門家としてのなりわいの役割です。「日本には専門店はあっても専門家店は少ない」と指摘するのは駒沢大学の吉田敬一教授です。実は専門家店はあらゆるところで求められています。八百屋は全国の産地による味の違い、調理は何にあっているかを消費者に情報を届けなければなりません。

 例えば今年のごほうびは雨の少なかった何処産がおいしい(ごほうびは雨が少ないと水を求めて地中深く伸び出来がよくなる)とか、そういう役に立つ情報を求めています。「今日はこの野菜がお勧めだよ。こう料理すればおいしいよ」。こういう情報を与えて、あの八百屋は間違いがないという信用がなりわい経営のあり方です。時代はほんもの・こだわりの時代といわれています。その時代の担っていくほんもののおいしさでの質の競争がなりわい経営のあり方なのではないでしょうか。

次回…ヒトの非価格競争その7 得意先・同業者ネットワークの塗装店
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01 . September
 地域内再投資力の発見

 前回は、地域づくりのための「宝物」の探し方について述べました。次の問題は、その「宝物」を活かして、どのように地域経済を元気にさせていくかという点にあります。その際のキーワードになるのが、地域内再投資力です。耳慣れない言葉で恐縮ですが、実は、私がつくった造語です。今回は、この地域内再投資力という言葉の意味するところを、私の研究の歩みを振り返りながら、解説してみたいと思います。

 私は、もともと日本の地域開発政策の歴史を研究していました。戦前の昭和恐慌以来 、日本では、「地域振興」を旗印にして、企業誘致を中心にした開発政策が繰り返しおこなわれてきました。しかし、その多くが「地域振興」という本来の目的を達成せずに終わっていました。このような地域開発政策の「夢と現実」を、政府や地方自治体、企業の資料を中心に追跡し、なぜ地域開発が失敗してきたのかを考えてきました。

次回・・・岐阜県進出企業と県内企業との比較調査
09 . September
 岐阜県進出企業と県内企業との比較調査

 大学病院を修了して最初に就職したのが、大垣市にある岐阜経済大学でした。ここでは、地域計画論や地域経済論という科目を担当したほか、大学におかれた地域経済研究所にも属していて、同僚の先生や学生たちと地域の現場に調査に行く機会が格段に増えました。このため、研究分野も、これまでのような歴史研究ではなく、現代の地域経済や地域開発問題に移ることになりました。ときは、ちょうどバブル経済の時代であり、国の第4次全国総合開発計画に対応し、岐阜県でもイベントやリゾート開発など大規模開発事業に加え、積極的な企業誘致政策が展開されていました。

 他方で、岐阜県は、関の刃物、美濃の紙、東濃の陶器、飛騨の木工、岐阜羽島の織物等、日本有数の地場産業の集積地でもありました。1980年代半ばは、これらの地場産業の多くが円高不況に陥ったり、前川レポートの影響で逆輸入品圧力に喘いでいました。

 ちょうどそのころ、県の外郭団体である岐阜県シンクタンクの仕事で、岐阜県進出企業と県内企業との比較調査をする絶好の機会に遭遇しました。大量のアンケート調査に加え、企業へのヒアリング調査も多数おこない、進出企業と地場産業がそれぞれ地域経済にどのような役割を果たしているかを検証する作業でした。この調査の なかで、興味深い事実をいくつも発見することができました。ひとつは、進出企業の撤退率の高さです。20年もしないうちに立地企業の4分の1近くが撤退ないし廃業されていました。
 
 また、現に立地している誘致企業の地域経済への貢献度の低さが目立ちました。岐阜県M市に誘致された大手技術先端企業(本社・東京)の子会社工場と、それとほぼ同じ製造品質出荷額をもつ多治見陶器産地の岐阜県経済への貢献度を比較してみました。前者の企業は、県外にある同一系列の分工場から中間製品を受け取り、それに加工をおこない、半製品のまま再び県外分工場に出荷する役割をもっていました。自動化した工程をもっているため、県内には一つの取引工場をもつだけで、雇用効果も限られていました。利益の多くも、本社に対する原材料、技術料・特許料支払いという形で、流出していました。他方、地場産業の場合、地域内分業が発達しているため、県内に数多くの取引工場があり、誘致企業の10倍の雇用を擁しているだけでなく、卸売小売業といった商業連関もあって、ここでも多くの雇用を生み出していました。両者の地域経済効果には明確な差があり地場産業の中小企業が地域経済の主役であることを、はっきり認識することができました(表)。
 
 表 大手技術先端型企業分工場と地場産地の地域経済効果比較
  X社分工場 多治見陶器産地
 1986年度出荷額(億円) 520億円  503億円
 常用雇用 605人 6151人
 県内関連事業所数 下請 1社 728事業所
 商業関連 なし 935事業所
 同雇用数 0人 2570人
(資料)岐阜県シンクタンク『岐阜県経済の成長過程と県内企業の事業活動の展開』1988年
 
 ところが、当時の岐阜県やM市は、この誘致工場に対して固定資産税の5年免除に加え、国道からの取り付け道路をプレゼントしていたにもかかわらず、県は円高不況に苦しむ地場産地に対しては国が定めた円高緊急融資ぐらいの対応しか講じていませんでした。このような政策の転換を提言したのですが、当時は受け入れられることはありませんでした。蛇足になりますが、岐阜県内の民商さんの集まりで初めて講演したのも、そのころでした。

 いずれにせよ、岐阜での調査を通して、国や地方自治体の地域開発政策に注目して地域経済をみる視点から転じて、地域経済をつくり、支える経済主体である地場産業、地域企業の活動に視点をすえることになりました。けれども、当時は「地域経済力」というありきたりの言葉しか思い浮かばず、もう少し的確に表現できる言葉がないものかと悶々と考える日々でした。

次回・・・長野県栄村との出会い
09 . September
ヒトの非価格競争力その7 得意先・同業者 ネットワークの塗装店

①建設塗装という業界

 N県T市のT塗装店も全商連の役員さんです。興味を持ったのはいつも忙しそうで、お会いしているときも携帯電話が絶えないことです。どんな商売をされているのか気になり今回訪問することにしたのです。建設塗装といえばいわゆるペンキ屋です。建設関連でももっとも参入障壁が低い業種と言われ、それだけにこの業種での経営の秘密にかえって興味を持ったのです。

 この業種が参入障壁が低いのはDIY(ドゥ イット ユア セルフ=自分でやりなさい)の発祥の業種だからということでも分かります。欧米で始まったDIYは自宅の塗装を自分ですることが出発でした。お父さんの大工仕事の材料や工具の店であるDIYはその後日本に持ち込まれ、現在ではホームセンターとして量販店の中心になっています。しかし日本ではこれだけホームセンターが増えても自宅の塗装を自分でする人はそんなに増えません。それはなぜでしょうか。ここに日本人の特別の性格があるからです。どんな性格かというと外面をきれいにしたいと言う性格です。日本人は車の傷を嫌うように家でも外面を大事にします。この大事な自宅の外面を塗るペンキ作業をお父ちゃんの仕事にすることに、お母ちゃんがなかなか同意しないのです。洋風の住宅が増えたところにこうした事情が加わって、建設塗装業界はどこでもかなり忙しい業界になっているのです。

次回・・・みんながハッピーな関係が大事
09 . September
ヒトの非価格競争力その7 得意先・同業者 ネットワークの塗装店

②みんながハッピーな関係が大事

 この業界での経営のポイントは何でしょうか。それはこの仕事の特殊性にあるといえます。特殊性とは建物の新築でもリホームでも塗装は最後の仕事、仕上げの仕事になることです。これまでの工期のしわ寄せを一手に引き受け、しかも客からも一刻も早く住みたい期待に応えて、納期を遅らせることができない宿命にあるのです。この伸縮自在を要求される仕事で発注者の信用を得るためには工事する側にも伸縮自在の体制が必要になり、そのことが信用につながるのです。

 この伸縮自在の体制はどうすればできるでしょうか。それは融通無碍な人的ネットワークを組む以外にはありません。T塗装店では地域の工務店30社からの発注を一手に引き受けています。この30社は3社を除いて個人企業の小さな工務店で、上下関係ではなく仲間意識で助け・助けられの関係になっています。

 T塗装店では自社が客から直接受注することはありません。あくまでも工務店を前に出し仕事を取ってもらい、そこからもらうようにしています。それは短期の利益よりも地域での長い目の利益のためには工務店に頑張ってもらった方がよいと考えているからです。この取引先の多さが最初に行った電話の多さになっているのです。こうして出てくる仕事を5人の社員でこなすのですが、当然得意先が多く仕事が重なりこなせない場合も出てきます。その時に備えて同じ塗装店との互助の人的ネットワークも育てています。このようにT塗装のやり方はなりわい経営の法則にきちっと合致しています。要するに自分だけがよかったらいいというのではなく、商売はその地で長くやっていく上で、工務店や同業者との関係を大事にする、みんながハッピーな関係をつくっているのです。地域に根付いたなりわい経営だからこその生き方です。

次回・・・今月のワンポイント 創業昭和○年
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